ラジオドラマ『火星からの侵入』が放送された日。

1938年 - 10月30日。ラジオドラマ『宇宙戦争』の放送中に、次のような臨時ニュースが入りました。

みなさん、大陸間ラジオ・ニュースから最新のニュースをお伝えします。
午後8時50分、隕石と思われる巨大な閃光を放つ物体が、トレントンから22マイルのニュージャージー州グロバーズミル近郊の農場に落下しました。空での閃光は半径数百マイルの地域でみられましたし、落下の際の轟音ははるか北のエリザベスでも聞かれました。

次いで、プリンストン天文台から、レポーターによる天文学者へのインタビュー。「火星には知的生命体は存在しない」という天文学者のコメント。天文学者と共に落下現場に到着したレポーターの実況。農場主へのインタビュー、天文学者の「あれは地球上にはない金属で、隕石でもないようだ」というコメント。そして…

ちょっとお待ちください。何か起こったようです。みなさん、これは恐ろしいことです。物体の端がめくれ落ちはじめました。てっぺんの部分がスクリューのように回転しはじめました!

集まった群衆の騒ぐ声。レポーターの緊迫した実況は続き、金属の円筒の中から、触手を備えた熊くらいの大きさの怪物が!そしてソレが熱光線を発してあたりは炎に包まれ、実況は中断!火星人の侵略だっ!ΣΣ(゜Д゜;)

もちろん侵略なんて嘘ですが。これは、有名な脚本家オーソン・ウェルズが1938年の今日、実際に流した(ある種の実験的演出をほどこした)ラジオ放送です。この放送があまりにもリアルだったため国民はパニックになり、「火星人に辱めを受けるくらいなら」と自殺する者が多数現れ…。ジョークでは済まなくなってしまった、放送史上に残る汚点であり。また、完璧な演出でした。

この事件がきっかけで、ウェルズはRKO社に招かれ、恐らく一人の映画監督のデビューとしては世界に類を見ない衝撃を与えたアカデミー賞作品となる市民ケーン(1941年)を発表。RKO社はこの新人監督に予算の範囲内での全ての製作自由を与え、彼はこれを最大限に活かして、ケーンのモデルになっている新聞王ハーストの妨害にもかかわらず、全世界の映画人に、撮影技術・音響の点で影響を及ぼした作品を作り上げました。

冷たい雨の降りつける秋の夜長。映画史の側面から映画に触れてみるのもいいかも知れませんね( ´∀`)

市民ケーン
オーソン・ウェルズ ジョセフ・コットン

おすすめ平均 
作品は★★★★★
もっと映画自体をちゃんと観ようよ
字幕は??
映画の基本!!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools