あくまで過去の話だけど…

この日記も昨日の分と同じく19日に書いています。
時季が時季だけに、まるで夏休みの終わりに思い出をたぐりながら宿題の絵日記をつける小学生みたいですね*1f(^ー^;)

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閑話休題
夏の通り雨に、旅行の写真の現像待ちをしていた僕が薬局の軒先を借りて雨宿りをしていたときのこと。
偶然、昔好きだった娘に声を掛けられた。会うのは十数年ぶりになると思う。


それは僕がついに想いを口に出せなかった小学生の頃の恋のお話。
誰も知らない恋のお話。
日記に書いてすら恥ずかしいから、そのくわしい話は今も僕の心の中だけにしまっておこうと思う。


だから、もちろん声を掛けられたときも、当時身長が130cm台だった僕が160cmはあったであろうその娘に、そんな淡い想いをいだいていたなんて事はオクビにも出さなかった。


『いま何やってるの?』
『結婚は?』
『いま、充実してる?』


せまい軒先でたわいのない会話。
きっと同窓会でほとんど記憶にない人に声を掛けられてもするであろう社交辞令的な言葉のキャッチボール。
本当は心臓だけがあの頃にタイムスリップしてしまったみたいにドキドキしていたけど。


あの頃、見上げるほどにあった身長差は、いまはわずかに僕の方が上になっていた。


『あ、もう止んできたね』
『そうだね』
ダッシュで行けば大丈夫かも』
『僕も写真取りに行かなきゃ』
『じゃあね』
『うん』


その娘は駅へ。僕は写真屋へと駆け出した。
十数年のときを経てふたたび交わった僕とその娘の道は、夏の通り雨よりも短い時間でまた別れていった。


写真屋の軒先に滑り込んで駅の方を振り返ると、駅舎への階段にあの娘が立っていた。


<またね、しみっちゃん*2


本当は遠くて声なんか聞こえなかったんだけど。
でもきっと「またね」って言ったのだと思う。だから僕も片手を上げて「またね」って言った。きっと向こう側には届いてないだろうけど。
するとその娘は階段を駅舎へと登って行き、今度こそ僕らの道は別れていった。


その時、僕の頭の後ろあたりで流れていたBGMは、むかしウィスキー『SUNTORY NEW OLD』のテレビCMで流れていた曲だった。
長塚京三が出演していたウィスキーのCM。別バージョンだと田中裕子が主演してたと思う。
ストーリーは何パターンかあるけど僕がよく覚えているのは、中年上司(長塚)が部下の若い女性と出張かなにかで列車に乗っていて、向かい合わせの席で言葉を交わすやつ。


女性『(微笑んで)私、むかし課長に怒られて泣いちゃった事があるんですよ』
長塚『(苦笑いしながら)そ、そうだったけ?』
女性『(挑発的に微笑みかけながら)だから、いつか泣かしてやろうと思って』
長塚『…(ドギマギ)』
ナレーション『恋は、遠い日の花火ではない…』


こんな内容のものだった。音楽は小林亜星さん作曲の[夜が来る]というやつで、94年のシリーズらしい*3。当時中学生の僕には、恋はいくつになっても出来る、くらいにしか受け止められていなかったCMだけど、今ならちょっと違う解釈も出来るかもとか思ったり。

*1:僕は一夜漬けや宿題の追い込みとかしない「良い子」でしたけどね(笑)

*2:「しみっちゃん」は僕の小学校時代のあだ名。「みっちゃん」だと、みっちゃん道々ウ●コして〜♪と歌われるので頑張って浸透させたあだ名(苦笑)

*3:60年代に放映されたNEW OLDのテレビCMでも使われていたそうです